エンタープライズ:ニュース 2002/12/12 21:06:00 更新


Interview:ハイエンドIA構築の教科書となるインテルソリューションサービス

インテルソリューションサービスは、顧客システムの一連の開発プロセスを通じて技術的支援を、システムインテグレータやOEMベンダー向けに行う。IAをベースにしたハイエンドシステムの構築についても、インテルは自らがモデルケースを作っていく考えだ。

 インテルは、IA(インテルアーキテクチャ)ベースのコスト効率の高いシステムを、将来に渡って顧客に提供していくことを目的に、インテルソリューションサービスを2000年に開始している。同組織は、顧客システムの要件定義から設計、開発、テスト、運用という一連の開発プロセスを通じて、アプリケーションのパフォーマンスやTCOを最適化するための技術支援などを、システムインテグレーターやOEMベンダー向けに行っている。本格的な利用が始まりつつあるItanium Processor Family(IPF)など、次世代の技術基盤を意識したサービス提供も行う同組織について、来日しているインテルソリューションサービス担当ゼネラルマネジャー、リック・エチェヴァリア氏に話を聞いた。

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リック・エチェヴァリア氏

ZDNet まず今回の来日の目的を教えてください。

エチェヴァリア 現在、米国、欧州、アジア・パシフィック、日本という4拠点があり、各地域については毎四半期ごとに訪れるようにしています。ソリューションセンターで行っている活動が本当に顧客に価値を与えているものか、あるいは、活動が本社の戦略と合致するものかどうかなどをチェックします。

ZDNet インテルソリューションサービスが戦略的に提供しようとしているものは何ですか?

エチェヴァリア 3つのフォーカスがあります。1つは、XeonやIPF、Baniasなどのインテル製品。そして、Webサービスやネットワーキング、モビリティといったインテル製品以外との連携が必要な技術。さらに、インテルの社内でインテルの技術をどのようなソリューションとして導入しているか。この3つを総合したソリューションを「プラクティス」と呼び、世界の4地域で展開しています。そして、BKM(Best Known Methods)として、技術を業界に提供していきます。

ZDNet プラクティスには具体的にどんなものがありますか?

エチェヴァリア 「アプリケーションのプラットフォーム移行」「分散型ソリューション」「先進的なデータセンター」の3分野です。

 それぞれについて、アプリケーションのプラットフォーム移行で利用する技術は、Pentium 4やIPF、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、Tru64やAlpha、SolarisやLinux、HP-UXなどです。また、分散型ソリューションにはJ2EEや.NETなどのWebサービスや電子商取引、3つ目の先進的なデータセンターでは、IPFやXeon、セキュリティ、Linuxパーティショニング、802.11などのワイヤレスインフラとなっています。

ZDNet 同サービスについて、2002年のまとめと、2003年の具体的な施策を教えてください。

エチェヴァリア 同サービスは2000年に設立されたため、フルに営業をしたのは2001年が最初の年でした。2001年はセールスチームの技術的なサポートが中心になっていましたが、2002年はそれが成熟して、インテル本社もわれわれの部隊を戦略的に見るようになってきました。2002年にSIやOEMベンダーと共同で作業を進めて、彼らが利益を上げている実績を得ることができたのです。2003年は、プラクティスをベースに、「反応」するのではなく、先手必勝型で、事前に提案するサービスを展開しようと考えています。

ZDNet システムの上流から下流工程を通じてサポートする場合には、設計やテストなどは基本的にシステムインテグレーターやOEMベンダー側が行うことになると思います。300人と一見少なそうに見えるインテルソリューションサービスの担当者は具体的にどのような指導をしますか?

エチェヴァリア これはケース・バイ・ケースなので主なケースを挙げて紹介します。例えば、サーバ統合に関するノウハウや、Oracle9i RACによるクラスタリングシステムの構築、BEAシステムズのアプリケーションサーバの導入などを行う場合の技術支援が挙げられます。

ZDNet 主なフォーカスの1つとしてはやはり、いわゆるRISC・UNIXシステムからのIAベースのシステムへのマイグレーション促進ということになりますか?

エチェヴァリア その通りです。金融市場を中心に、今年も移行した顧客が多くいました。

ZDNet そこではIPFがカギになってくると思います。IPFについては、ハードウェアとしての性能が高いことはさまざまな形で紹介されるようになりましたが、対応するアプリケーションが少ないのではないかという指摘もありますが。

エチェヴァリア 既に、ミドルウェアやデータベース系のパートナーの多くがIPF対応を表明しています。それ以外のアプリケーションベンダーも、IPFプラットフォームの優位性が証明されれば自然とついて来てくれると考えています。


 同サービスのユーザー事例を同社に聞いたところ、日本では明治生命保険が挙げられた。同社は、1996年から全社の営業拠点システムの基盤にC/S(クライアント・サーバ)を採用し、1300拠点でLANベースのC/Sネットワークを展開したという。しかし、柔軟性および即応性の面でWebアプリケーションベースにした方がいいということになり、システムの見直しを考えた。新システムでは、営業職員を含めた全チャネルのクライアントPCが、直接本社側サーバ上のWebアプリケーションを利用するシステムが想定された。

 ここで、システムとして採用されたのは、IAベースの富士通のPRIMERGY N800/N400サーバ。OSはWindows 2000 Datacenter Server。

 本社側サーバにトランザクション負荷が集中することを懸念した情報システム部は、Web系システムの構築にノウハウを持つインテルソリューションサービスに、将来的なスケーラビリティに関する検証テストを依頼したという。インテルソリューションサービスは、各種のチューニングを行い、このシステム構成が十分なスケーラビリティを持ち、明治生命が提示するパフォーマンス要件を達成できることを実証したとしている。

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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]